【超初心者向け】語学試験対策に多読・多聴を取り入れるには?ゼロから分かるメリットと始め方
語学試験対策を始めようと思っても、「単語や文法は覚えているはずなのに、長い文章が読めない」「リスニング音声が速すぎて聞き取れない」といった壁にぶつかることがあります。これは、インプットの「量」が不足していることが原因の一つかもしれません。
教科書や参考書での基礎学習はもちろん大切ですが、それだけでは実際のコミュニケーションや試験で求められる「使いこなす力」はなかなか身につきません。そこで注目されるのが、「多読(たくさんの文章を読む)」と「多聴(たくさんの音声を聞く)」という学習法です。
「多読・多聴」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、ゼロからでも無理なく始められ、語学試験対策にも非常に有効です。この記事では、多読・多聴がなぜ効果的なのか、そして超初心者がゼロからどのように始めれば良いのかを分かりやすく解説します。この記事を読めば、インプットの質を高め、試験本番で役立つ「読む力」「聞く力」の基礎を身につけるための一歩を踏み出せるでしょう。
語学試験対策における「多読・多聴」とは何か?
まず、「多読」と「多聴」がどのような学習法なのか、そしてなぜ語学試験対策に繋がるのかをご説明します。
多読とは?
- 簡単な文章を、辞書をあまり引かずに、たくさん読む学習法です。
- 目的: 一つ一つの単語や文法を完璧に理解することよりも、文章全体の大意を掴むこと、そして大量の英文に触れることに重点を置きます。
- 効果: 読む速度が上がり、未知の単語の意味を文脈から推測する力が養われます。語彙や文法の定着にも繋がります。
多聴とは?
- 簡単な音声教材を、スクリプトを見ずに、たくさん聞く学習法です。
- 目的: すべてを聞き取ろうとするのではなく、大まかな内容を理解すること、そして大量の音声に触れることに重点を置きます。
- 効果: 耳がその言語の音に慣れ、単語の連結や弱形(音が変化すること)が聞き取りやすくなります。自然なイントネーションやリズム感も身につきやすくなります。
これらの学習法は、単に単語や文法を「知っている」だけでなく、それらを「使える」状態にするための重要なインプット手法です。
なぜ多読・多聴が語学試験対策に有効なのか?
多読・多聴は、特にリーディングセクションとリスニングセクションがある語学試験において、強力な効果を発揮します。
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読む速度と理解力の向上(リーディング対策) 多読によって、簡単な文章を速く、かつ正確に読む練習を積むことができます。これにより、試験で出題される長い文章を読む際の負担が軽減され、内容理解に集中できるようになります。語彙や文法の知識も、実際の文脈の中で繰り返し触れることで自然と定着します。
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聞き取り能力と音への慣れ(リスニング対策) 多聴は、様々な話し手、スピード、アクセントの音声に触れる機会を提供します。スクリプトを見ずに聞くことで、音声から直接意味を理解しようとする力が養われます。これにより、試験特有の環境下でも、落ち着いて音声を聞き取り、内容を把握する助けとなります。
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語彙・文法力の自然な習得 多読・多聴を通じて、単語や文法が実際にどのように使われているかを「生きた形」で学ぶことができます。繰り返し同じ単語や表現に触れることで、意識的に暗記するよりも自然に語彙が身につき、文法の規則も感覚的に理解できるようになります。
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集中力の向上と試験形式への慣れ 長時間にわたる多読・多聴は、集中力を維持する練習にもなります。これは、特に長文読解や長時間のリスニングが課される試験において有利に働きます。また、様々なジャンルの文章や音声に触れることで、試験でどんなトピックが出ても動じない柔軟性が養われます。
超初心者がゼロから始める多読・多聴の具体的なステップ
「何から始めたら良いか分からない」という方のために、ゼロから始められる具体的なステップをご紹介します。
ステップ1:自分に合った「超簡単な」教材を選ぶ
多読・多聴で最も重要なのは、「無理なく、たくさん」触れることです。そのためには、自分の現在のレベルより少し易しいと感じるくらいの教材を選ぶのが鉄則です。
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多読教材の例:
- GR (Graded Readers): 学習者向けに語彙や文法が制限された読み物シリーズです。レベルが細かく分かれているため、超初心者レベル(StarterやLevel 1など)から始められます。物語、ノンフィクションなど種類も豊富です。
- 子供向け絵本や物語: 母語話者の子供向けに書かれた簡単な絵本や物語は、語彙が少なく、文法も平易なため取り組みやすいでしょう。
- 易しいニュース記事やブログ: 学習者向けに書かれた簡単なニュースサイトや、平易な言葉遣いのブログ記事なども良い導入になります。
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多聴教材の例:
- GR (Graded Readers) の付属CD/音声: 多読教材とセットになっている音声は、文章と音声が一致しているため効果的です。
- 子供向けアニメや童謡: 繰り返しが多く、視覚情報やメロディーがヒントになるため、内容が理解しやすい傾向があります。
- 学習者向けポッドキャストや音声教材: 速度がゆっくりで、使われる語彙や文法が制限されているものがおすすめです。
ポイント: * 辞書を引く頻度: 多読の場合、読んでいるページや見開き全体で分からない単語が数個程度(目安として5〜10%以下)であるレベルが理想です。それ以上分からない場合は、教材が難しすぎます。 * 興味のあるトピック: 自分が興味を持てる内容の教材を選ぶと、モチベーションが維持しやすくなります。
ステップ2:読む・聞く「量」の目標設定
「たくさん」と言っても、最初から無理な目標を設定する必要はありません。
- 多読: 1日にページ数を決める(例: 5ページ、10ページ)、あるいは読む時間で決める(例: 10分、15分)。
- 多聴: 1日に聞く時間で決める(例: 15分、20分)、あるいは聞く回数で決める(例: 同じ音声を3回聞く)。
最初は短時間・少量から始めて、慣れてきたら徐々に増やしていくのが良いでしょう。大切なのは毎日続けることです。
ステップ3:多読・多聴の実践方法
- 多読:
- 分からない単語が出てきても、立ち止まらずに推測して読み進めます。
- 内容が完全に理解できなくても気にせず、大意を掴むことを目指します。
- 読むのが辛くなったら、パラグラフを飛ばしたり、章を丸ごとスキップしたりしても構いません。とにかく「読み続ける」ことを優先します。
- 多聴:
- スクリプトは基本見ません。まずは音だけで内容を把握しようとします。
- 聞き取れない単語やフレーズがあっても、気にせず最後まで聞きます。
- 集中して聞く時間と、BGMのように「聞き流す」時間を組み合わせるのも良いでしょう。
ステップ4:続けるための工夫
多読・多聴は継続が力になります。
- スキマ時間の活用: 通勤時間、休憩時間、家事をしながらなど、日常生活のスキマ時間を活用しましょう。スマートフォンや携帯音楽プレーヤーに教材を入れておくと便利です。
- 習慣化: 「朝食後に10分多読」「寝る前に15分多聴」のように、特定の行動とセットにして習慣化を目指します。
- 記録をつける: 読んだページ数や聞いた時間などを簡単なメモに残すと、達成感が得られ、モチベーション維持に繋がります。「〇〇を読了」「〇〇を〇回聞いた」といった記録でも構いません。
多読・多聴と他の学習方法との組み合わせ
多読・多聴は万能薬ではありません。単語や文法の基礎学習、そして実際に話したり書いたりするアウトプット練習と組み合わせて行うことが重要です。
- 基礎学習: 多読・多聴で触れた単語や文法が、基礎学習で学んだ知識と結びつき、より強固に定着します。逆に、基礎がある程度できていると、多読・多聴のハードルが下がります。
- アウトプット: 多読・多聴でインプットした表現や語彙を、実際に使う練習(話す、書く)をすることで、知識が「使えるスキル」に変わります。
例えば、多読で出てきた知らない単語を後で辞書で確認して単語帳に加えたり、多聴で聞いたフレーズを使って短い文章を作ってみたりするなど、インプットとアウトプットを連動させると効果的です。
まとめ
語学試験対策における多読・多聴は、単語や文法の知識を実際の「読む力」「聞く力」に変換するための非常に有効な手段です。特にゼロから始める超初心者の方にとっては、完璧を目指すのではなく、まず「大量の良質なインプットに触れる」という経験が、言語の壁を低く感じさせ、学習を継続する自信に繋がります。
自分に合った簡単な教材を選び、無理のない量から、スキマ時間を活用して毎日コツコツ続けることが成功の鍵です。すぐに劇的な効果が見えなくても、諦めずに続けることで、読む速度が上がり、聞き取れる音が確実に増えていくのを実感できるはずです。
ぜひ今日から、多読・多聴を語学学習に取り入れてみてください。最初の一歩は小さくても構いません。その積み重ねが、語学試験合格という目標達成への大きな力となるでしょう。