【超初心者向け】ディクテーション学習はまず何から?ゼロから始める効果的な始め方
語学試験対策を始めたいけれど、「リスニングが苦手」「何をすれば良いか分からない」と感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。特に、聞き取った音声を正確に理解することは、リスニングセクションだけでなく、全体の語学力向上にも欠かせません。
そこでおすすめしたいのが「ディクテーション」という学習法です。一見難しそうに思えるかもしれませんが、超初心者の方でもゼロから無理なく始めることができ、効果を実感しやすい方法です。この記事では、ディクテーション学習とは何か、なぜ効果的なのか、そして今日から始められる具体的なステップについて解説します。
ディクテーションとは何か?なぜ語学学習に効果的なのか?
ディクテーションとは、流れてくる音声を聞き取り、それを文字に書き起こす学習方法です。「書き取り」と言えばイメージしやすいかもしれません。
このディクテーションがなぜ効果的なのかというと、主に以下の3つの点で語学力アップに繋がるからです。
- 音の正確な聞き取り能力向上: 音声を聞き流すだけでは、漠然と聞き取ったつもりになってしまいがちです。しかし、ディクテーションでは一音一句を逃さず、正確に聞き取る必要があります。これにより、単語と単語が繋がって発音されるリエゾンや、音が脱落するリダクションなど、実際の会話で起こる様々な音声変化に気づけるようになり、聞き取り能力が格段に向上します。
- 語彙力・文法力の定着: 聞き取った音声を文字に起こす際、「あれ?この単語、スペルが分からないぞ」「この文法、どうなっているんだろう?」といった疑問に直面します。これを調べることで、曖昧だった語彙や文法知識がより確かなものとして定着します。知っている単語や文法構造なのに聞き取れない、という「知っているのに使えない」状態の解消にも役立ちます。
- 集中力の向上: ディクテーションは、短い時間でも非常に高い集中力を必要とします。この集中して音声に向き合う経験を積むことで、長時間のリスニングにも耐えられる集中力が養われます。
このように、ディクテーションはリスニング力を核としながらも、語彙、文法、スペルなど、総合的な語学力の底上げに繋がる、非常に効率の良い学習法と言えます。
ゼロから始めるディクテーション学習の具体的なステップ
「文字に書き起こすなんて難しそう…」と感じる必要はありません。超初心者の方でも、以下のステップで進めれば無理なく始めることができます。
ステップ1:適切な音声教材を選ぶ
これが最初の、そして最も重要なステップです。ゼロから始める方は、以下の条件を満たす教材を選びましょう。
- レベル: ご自身の今のレベルより「少し易しい」と感じるくらいのものが理想です。初めて挑戦する場合は、初心者向けの、短く簡単な文章から始めるのが良いでしょう。
- スクリプト(文字原稿)がある: 必ずスクリプトがついているものを選んでください。答え合わせや復習に不可欠です。
- 音声の長さ: 最初は30秒〜1分程度の短い音声から始めましょう。慣れてきたら徐々に長くしていきます。
- 内容: ご自身の興味のある分野や、語学試験でよく扱われるトピックの音声だと、モチベーションを維持しやすくなります。
市販のリスニング教材、初心者向けポッドキャスト、YouTubeチャンネルなどで、上記の条件を満たすものを見つけてみてください。
ステップ2:まずは全体を通して聞いてみる
選んだ音声を、まずはスクリプトを見ずに全体を通して聞いてみましょう。内容は完璧に理解できなくても構いません。「どんなテーマの話かな?」「いくつか聞き取れる単語はあるかな?」といった、大まかな内容を掴むことを意識します。
ステップ3:音声を短い単位で区切って聞く
次に、音声を一時停止しながら、数単語〜一文程度の短い単位で区切って聞いていきます。繰り返し聞いても構いません。プレイヤーの再生速度を少し遅くしてみるのも有効です。
ステップ4:聞き取った音声を書き起こす
区切って聞いた音声を、紙やパソコン、スマホのメモ機能などに書き起こします。最初は完璧でなくて大丈夫です。
- 聞き取れた単語だけを書き出す。
- 全く聞き取れない部分は空白や「___」にする。
- 自信がない単語は、聞こえた通りの音でカタカナでメモしておく。
完璧を目指すのではなく、「今、自分がどこまで聞き取れているか」を確認するつもりで行いましょう。
ステップ5:スクリプトで答え合わせをする
全てを書き終えたら、いよいよスクリプトで答え合わせです。自分が書き起こした内容と、実際のスクリプトを見比べて、どこが聞き取れなかったのか、スペルが間違っていたのか、文法を間違えて解釈していたのかなどを確認します。
ステップ6:間違いを確認し、音と文字を結びつける
答え合わせで見つかった間違いを丁寧に確認します。特に、
- 聞き取れなかった箇所: なぜ聞き取れなかったのか(音が変化していた、知らない単語だったなど)を分析し、スクリプトを見ながら改めて音声を聞き、音と文字を一致させます。
- スペルミスや文法ミス: 単語や文法の知識が曖昧だった部分を再確認し、必要であれば辞書や参考書で調べます。
この「答え合わせと分析」のステップが、ディクテーションで最も学びが得られる部分です。
ステップ7:音読・シャドーイングで仕上げ
最後に、スクリプトを見ながら音声を一緒に声に出して読む「音読」や、音声のすぐ後を追いかけるように発音する「シャドーイング」を行います。ステップ6で確認した、聞き取れなかった音の変化や正しい発音を意識しながら行いましょう。これにより、リスニングだけでなくスピーキング力の向上にも繋がります。
ディクテーションを効果的に続けるためのヒント
忙しい毎日の中でディクテーション学習を継続するためには、いくつかの工夫が必要です。
- 完璧主義にならない: 最初から一字一句正確に聞き取ろうと気負いすぎないことが大切です。まずは全体の7〜8割が聞き取れれば十分、という気持ちで取り組みましょう。どうしても難しい部分は、潔くスクリプトを見てしまっても構いません。継続することの方が重要です。
- スキマ時間を活用する: 音声を聞く、短い区間を書き取る、答え合わせをする、といった各ステップは、それぞれ数分から取り組めます。通勤中や休憩時間、家事の合間など、短いスキマ時間を有効活用しましょう。スマホで音声を聞き、メモアプリに書き込むだけでも十分ディクテーションは可能です。
- ツールやアプリを賢く使う: 再生速度の調整機能、短い区間を繰り返し再生する機能などがある音声プレイヤーやアプリを利用すると、より効率的に取り組めます。
- 学習記録をつける: どの教材を使って、どれくらいの時間の音声に挑戦し、どの程度聞き取れたかなどを簡単に記録しておくと、自身の成長を実感でき、モチベーション維持に役立ちます。
まとめ
ディクテーション学習は、語学試験対策をゼロから始める方にとって、リスニング力向上はもちろん、総合的な語学力をバランス良く伸ばすための非常に効果的な方法です。
「難しいのでは?」という不安は脇に置いて、まずはご自身のレベルに合った「少し易しい」短い音声教材から始めてみてください。完璧を目指すのではなく、まずは「やってみる」こと。そして、今日ご紹介したステップを参考に、短い時間からでも習慣にしてみてください。
ディクテーションを通して、「聞き取れた!」という成功体験を積み重ねることが、今後の語学学習の大きな自信に繋がるはずです。最初の一歩として、ぜひ今日から挑戦してみましょう。